参加者レポート

2017年11月14日インバウンドセミナー「訪日観光客対応の最新事情と成功事例」

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こんにちは。東京販売士協会会員の李と申します。

最近は、「必ず」と言っても良いほど東京のいたる所で外国人観光客を見かけます。

「もはやインバウンド対応は無視できないのでは?」と考え、今回、セミナーに参加して参りました。

 

セミナー会場には10分前に到着したのですが、ほぼ満席でした。さすがに関心の高さが窺えます。

 

配布資料を確認して程なく、東京販売士協会と日本販売士協会の大島会長のご挨拶でセミナーが始まりました。

 

講師である新津健一氏はインバウンド業界の第一人者であり、観光立国推進協議会委員・幹事、オリンピック・パラリンピック多言語協議会委員・議長、東京ブランド推進会議委員、プレミアムフライデー推進協議会委員などの業界の重要な要職に就かれていらっしゃいます。

 

 

さて、セミナーは基礎編と実践編に分けて、面白エピソードも交え、詳しくご説明頂きました。詳細は下記の通りです。

 

 

1、訪日マーケティングの基礎知識

国際旅行者数は、世界各国の経済成長に伴い毎年3%前後で増加継続。成長率の高いアジアに隣接する日本は有利ながら、国際競争も激しい。

日本の訪日観光着手は古くは明治維新に遡る。小泉政権Yokoso!Japanで本格始動。ビザ緩和、消費税免税で急伸。

観光客の購買力は居住者の5~10倍。消費の6割がショッピング・飲食。域内消費喚起には商店街の巻き込みがポイント。

日本は観光発展途上国。世界16位、アジア6位(2015年)とまだまだ低位。(低位の原因は、PR不足である。)

大学生に挑む、幼稚園児として学習、研究が必要。

小売と観光は似て非なる発想。こんなんところにびっくり。パートナーシップが新たな価値を生む。

 

【マーケットイン・プロダクトアウト】

全国の訪日ビジネス成功者が共通して挙げる成功の秘訣。

訪日ゲストを大好きになる ⇒ ゲストの視点を持つ

自分の街・店を大好きになる ⇒ 街・店の魅力をアピールする

 

【3C】市場も、競合も国内市場とは全く違う

自社の魅力も国内市場向けとは違う + わが街も自社の魅力

 

【4P】インバウンド市場もマーケティング手法は同じ。

PDCAを徹底的に回していく。ターゲットに対し、最高の「商品、販売、販促」を提供。

 

 

2、訪日ゲストが笑顔で来店するしくみ

上から目線・思い込みが、失敗の原因に。情報を基にお客様を正しく理解する。

「新しい大切なゲスト」の発想が、マーケティングの起点。

 

訪日市場は、日本人市場とは異なる特性あり。正しい市場把握のために、市場の特性を理解することが重要。

セグメントのヒントは「外国人」と「旅行者」

【中国人ゲストの例】思い込みや、古い情報が危険。世界は広くて、早い。

 

ガイドにチャレンジ→心のバリアが解けるきっかけに。

  • ゲストに喜んでもらえる
  • 困りごと・ニーズが分かる。

 

ショッピングツーリズムは、モノ消費ではなくコト消費。

日本の価値を体験できる大きな観光資源。(日本を旅行することでしか得られない3つの価値)

価値1:日本人の神秘的で不思議な「気質」にふれることができる  →販売

価値2:日本人の細部までこだわり抜いた「作品」に出会える    →商品

価値3:日本人の普段の「生活」にあるちょっとしたことを体験できる→品揃え

 

観光客は旅行体験「コト」を商品「モノ」に置き換えて持って帰っている。

 

商品施策のポイント

売れる商品を探す前に、自分の街・店・商品を自己紹介。当たり前の通じない外国人目線で、魅力を分かりやすく。

 

販売施策のポイント

受け入れ環境「整備」し「表示」してゲストを歓迎。最大のハードル「言語対応」は、心のバリアの解消から。一歩踏み出せば、コミュニケーションは楽しくなる。

 

個人商店の接客例

言葉が出来なくても喜んでいただける。

ポイント1 身振り手振り+なにより笑顔で心温まる接客

ポイント2 折り紙のプレゼントで感謝と歓迎

ポイント3 接客するほど楽しく、おもてなししたくなる

 

販売促進(宣伝広告・コミュニケーション)のポイント

(1)「海外⇔国内」×「BtoB⇔BtoC」の4マスで頭を整理。

(2)旅マエ→旅ナカ→旅アトで欲しい情報は変化

(3)「今日のゲスト」「地域連携」が成功の秘訣

 

クチコミが大きな影響を。インバウンド対応しなくても評価の対象。「家族・友達のような」対応で、地方の中小店が日本一に。ビジネスだけで戦う大都市・企業を退ける。

 

 

3、全国の成功事例、失敗事例

大阪・黒門市場の例

商人魂に火がついたらどんどん進化

商品、受け入れ体制、人的対応力、エンターテイメント性、宣伝・販促。

 

東京・台東区蔵前の例

オープンファクトリーイベント「モノマチ」

観光地でも、商業地でなくとも観光客が集まり、消費が喚起される。

 

岐阜県飛騨市の例

飛騨里山サイクリング

日本で最もクチコミ評価の高い訪日ゲスト向けツアー。

 

 

非常に充実度の高い内容でした。

また、講演後に販売された新津健一氏の著書、『外国人観光客が「笑顔で来店する」仕組み』も好評のようでした。

私も購入したので、じっくり拝読致します。

 

 

個人的な気づきとして、訪日ゲストを「新しい大切なゲスト」の発想でセグメントすることが最も重要なのだと思いました。

なぜなら、上から目線で「あいつら」や「爆買い」などと呼んでいると、マーケティングを行う上でセグメントが不適切となり、訪日ゲストの特性を正しく把握できなくなると考えています。結果的に訪日ゲストマーケットの早い変化に対応できなくなる可能性が高くなると思います。

 

私自身も何を隠そう(隠してませんね・・・)外国人です。

しかし、日本で生まれ育っており、韓国には語学研修や駐在勤務で延べ4~5年程度住んでいた程度の韓国人ですので、やはり日本人としての視点で上から目線となってしまう事も時にはあります。こういうところは、私自身も是非反省して、訪日ゲストの視点を常に意識していかなければと考えさせられました。

 

インバウンドについて知見を深めると同時に、ビジネスパーソンとしての姿勢に関しても得るものが多かったセミナーでした。