先進商業施設視察会

「東京スカイツリー見学会」報告

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東京販売士協会 常任理事 大場 寛
来春に開業が迫る世界一の自立式電波塔「東京スカイツリー」とそれにより変貌する地元地域について視察しました。
2月16日9時30分浅草集合 参加者21名、(1)講演「墨田の観光最前線」 (2)懇親昼食会 (3)スカイツリー施設見学の3部構成で行いました。


第一部で墨田区観光協会事務局長小川幸男氏より「墨田の観光最前線」というテーマでご講演いただきました。
墨田区の観光素材として

①歴史と伝統文化
相撲、隅田川の花火、向島アート
②ものづくりと技
江戸時代は職人仕事、明治時代は産業化し軍人の生活関連用品の製造から、本社のあるライオン、花王、カネボウ製品はじめ、ニット、ガラス、琺瑯製品など多岐にわたり今日にいたる
③路地と地域の暮し
向島、京島地区は関東大震災後造成された昭和初期の家並みと下町の暮らし、豊かなコミュニティが残っている
④東京スカイツリー
天与の好材料というだけでなく、墨田観光の拠点起爆剤となるようにしていく

という説明がありました。
さらに観光事業の今後4つの取組みとして

①自主企画旅行業
観光協会は一般社団法人となり公益事業活動資金のための収益事業も行い、さらに第三種旅行業資格を取得し「着地型観光」(墨田区に来てもらう事業)としてスカイツリーとTDL、日光などを組み合わせたツアーを企画する
②まち歩き観光
地元ガイドによる文学散歩などで名所旧跡、グルメを紹介するサービスを行う
③商品開発
3M運動のミニミュージアム(小さな美術館―各社で歴史、製品の安全性等PR)、モデルショップ(工房ショップ、注文品の生産だけでなく直売により顧客ニーズをつかむ製販一体を目指す)、マイスター(後継者育成)と併せてスカイツリーライセンス(ツリー関連のロイヤリティ管理)事業を行う
④メディア開発&フィルムコミッション
映像による企業、製品のPR活動と映画ロケ地の斡旋事業

について説明がありました。
まとめで「観光から感幸へ」という言葉があり、来ていただくことで観光客も地元の携わる者も幸せを感じられるようなものにして行きたいということでした。
東京スカイツリー見学会1

吾妻橋より望むスカイツリ-と アサヒビール本社ビル


第二部はスカイツリーを望むアサヒビールタワー22階レストラン「ラ・ラナリータ」で小川氏を囲んで昼食後、段々大きく迫るスカイツリーを見上げながらタワー足元にある見学施設「スカイツリープラザ」へ徒歩で向かいました。
第三部はスカイツリープラザで東武トラベル株式会社菅田氏よりスカイツリー事業概要の説明を受けました。

<開発経緯>
2011年地上波デジタル放送開始にあたり都心の超高層ビルによる電波障害対策として600m級の電波塔の必要性が起き、2003年12月在京放送6社が「タワー推進プロジェクト」をスタートさせた。2004年12月東武鉄道に対し墨田区、地元関係者より新タワー誘致協力の要望が出され、同社で新タワー事業取組みを決定する。06年3月墨田・台東エリアが建設地として決定され、06年5月事業主体「新東京タワー株式会社」が設立される。08年6月タワーの名称が「東京スカイツリー」と決定され社名も「東武タワースカイツリー株式会社」に変更され7月着工。09年10月にはタワーの高さを武蔵の国に因み、自立式電波塔として世界一の634mに決定し、11年12月竣工、2012年春開業というスケジュールが決定された。

<基本理念>
開発コンセプト「人に地球にやさしい、豊かなコミュニティ」を目指した、タワーの元に環境に優しい街が生まれ、世界の人々が集い、新しい文化が創造されていくという願いが込められた。

<施設概要>
○東街区(押上駅側)には地上31階建て超高層オフィス棟とドームシアターがある7階建て商業施設棟
○西街区(業平橋駅側)には地上6階、地下2階建て水族館のある商業施設棟
○中央のタワー本体は高さ634mで・350mの第一展望台に展望、レストラン、カフェ、ショップ・450mの第二展望台に 展望、ガラス張り空中回廊があり関東一円が望める空中散歩が楽しめる。
○デザイン-土台の三角形から上部の円形に断面が変化し「そり」(日本刀の緩やかなそりの曲線)や「むくり」といった日本の伝統美が取り込まれ、大きな木の下に人々が集い、心を寄せ合う様子を表している。色は日本の伝統色で最も薄い藍染の色、藍白(あいじろ)をベースにしたオリジナルカラー、「スカイツリーホワイト」
○ライトアップは江戸の文化を継承し心意気を表す、隅田川の淡いブルー「粋」と美意識を表す江戸紫をイメージする「雅」の2つのテーマの光を毎日交互に使う。また世界に類を見ない超高層建造物でのオールLED照明を実現し環境に配慮した
○免震構造は「心柱」という法隆寺五重塔などに見る伝統的日本建築の技術が取り入れられた。

説明の後、プラザのある第二東武館ビル屋上より建設現場を見学しました。
当日の高さは584mでしたが、3月18日には最終の634mへ到達しました。
現在は5月23日より始まったクレーンの解体作業が話題になっているところです。
リーマンショック、東日本大震災と停滞が続く日本経済の中で唯一明るい話題を提供し続ける東京スカイツリーに益々期待が高まるところです。
スカイツリー見学会2

プラザのビル屋上にて全員集合写真