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2月26日開催 オンライン販売士セミナー・レポート

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2月26日開催 オンライン販売士セミナー・レポート

地球の歩き方「東京版」編集者が見たTOKYO~東京の魅力再発見~

(東京都委託、共催:東京商工会議所、協力:ジャパン・ショッピング・ツーリズム協会)

 

第1部 講演 「地球の歩き方 東京」

編集・プロデュサー 斎藤 麻里氏

 

「地球の歩き方」は1979年創刊、海外各地を紹介するガイドブックとしてスタートした。

「東京版」は2020年の東京オリンピック、パラリンピックに合わせて企画されたもの。ただ、昨年は新型コロナの感染拡大で五輪が延期となり、発行も9月になった。

しかし、結果は8万9000部でシリーズ・トップ、予想外の反響をいただいている。

読者層は意外にも東京都民が6割、首都圏域で8割を占めている。

 

寄せられた反響を見ると、東京は身近な街だけれど、実は何気ないところにもそれぞれ歴史とか由来があって、改めて興味深く感じたとのこと。

例えば江戸時代5街道の原点だった日本橋、エビスビールの積み出し駅・恵比寿駅、お茶の水やお台場の地名の由来や銀座和光(時計店)や歌舞伎など、思わず人に話したくなる情報が満載されている。

 

2つ目のポイントは、人気の特集が東京の「年表」だということ。

江戸・明治以降の日本の歴史、東京の歴史を振り返りながら、東京の名所の由来を知ることができる。

江戸以来の歴史文化(例えば浅草浅草寺)や東京の伝統工芸品が意外に多いということ。

東京発祥のスウィーツや江戸野菜など案外多いし、単に美味しいだけでなく「東京らしさ」が味わえる。

銭湯や藍染めなど江戸文化を体験できる特集もある。

 

取材したお店などに今回のコロナの影響をヒアリングしてみたが、いずれもたいへん苦労している。

飲食店などは3密対策を徹底したうえで、テイクアウトや宅配などで何とか対応しているようだ。

ただ今回のことで新たなニーズなど発見したこともあり、これからよく整理して今後に活かしていきたいとしている。

 

「地球の歩き方・海外版」は現在完全にストップしているが、「東京版」はこれからも東京の歴史、伝統、文化などストーリー性のある「東京らしさ」、オンリーワンの魅力をどんどん発掘して内容を充実させていきたい。

 

 

 

第2部 パネルディスカッション「東京の魅力と私たちの安全・安心の取り組み」

<パネリスト> 地球の歩き方          斎藤 麻里 氏

プレステージ・コアソリューション 吉澤  勉 氏

星野リゾート OMO5東京大塚 磯川 涼子 氏

地球の歩き方総合研究所(モデレーター)弓削 貴久 氏

 

東京・大塚のマイクロツーリズム

最初に磯川氏から「OMO5東京大塚」について若干の紹介が行われた。星野リゾートではリゾートとは別に都市観光をテーマに取り上げ、「OMO5東京大塚」というブランドを立ち上げた。

大塚という街で特にご近所を大切にいうことで、主にご近所を巡るガイドツアー、「マイクロツーリズム」を中心に展開している。

大塚は静かな下町風情のある街、都電荒川線や商店街、レトロな銭湯など、普段なかなか体験できない地元の魅力を改めて味わってもらうというコンセプトでたくさんの方々に楽しんでいただいている。

現在はコロナの影響でお客さんは少ないが、部屋の除菌や3密対策、近所の話題のお店の料理を運び込むなど、安全・安心な「旅のひとコマ」を演出していきたいと考えている。

 

浅草は今?

続いて吉澤氏からはまず浅草についてコメント。

これまではインバウンドでたいへん盛り上がってきた街、現在インバウンドはほぼゼロで浅草も大きな転換点にある。

浅草はもともと1年を通じてさまざまなイベント(三社祭、隅田川花火、サンバカーニバル、ほおづき市など)がある街、一時はオーバーツーリズムといって「もう観光客はいいよ」いう声も聞かれたが、今は観光客もほぼゼロになり寂しい限り。仲見世、新仲見世などは観光客目当ての店も多かったが、1~2割は姿を消した。

飲食関係やゲストハウス(簡易宿泊所)でもかなり休業状態になっていて、本当に厳しい状況と聞いている。

ただ、将来のためにもう一度、原点に返って浅草の良さを打ち出していきたい。

 

東京やその街の魅力を改めて考えてみる

東京の魅力については次のような意見が交わされた。

東京にはグルメあり、文化芸能ありそれぞれがまた発祥の地でもある。

渋谷、原宿、銀座いう個性ある街、動物園や水族館も都心にある、そういう魅力を改めて見つめなおす必要もある。

ほとんどすべてのものが東京にあるといってもいい。

歴史や伝統、技術的にも優れたものが多い。

それを発掘することが大切。都内の方が来て楽しむ、そういう楽しみ方もある。

大塚や下町の深い楽しさを商店街や都電、日本酒など通して、ディープなカルチャーを改めて発見すること。

あえて魅力の作り方といってもいい。

観光地でなくても旅行客に「非日常」を体験してもらうことができると思う、発想の原点には「ヨソモノ目線が大事」ということだと思う。

 

商店街を楽しめる空間に

また商店街については、商店街が生き残ることができるか、よく議論される。

賑わうショッピングモールなどは、家族が長く遊べる、過ごすことができる「滞在時間」、多様な用が足せる「利便性」に重点を置いていると思う。

「買い物+何か」というイベント性、そういう空間づくりが大事だと思う。

砂町銀座商店街は最寄りの駅から遠いのにも関わらず、たくさんの人で賑わっている。

前は中国人の団体観光客もバスで乗り付けていた。

独自の下町風情が残されてそこにいくことがひとつの体験になるということ。

大塚の商店街も最近はクルマが通れないようにして、歩いて楽しめる空間づくりが進んでいる。

若い人が地域活動にかかわると活性化すると思う。

金沢市では市内に7つの美術館ができつつあり、いくつかの商店街を歩きながら回るというプロジェクトが進んでいる。

アートがひとつのヒントとなって、街全体の活性化をはかっている。

 

ビジネス街でも可能性

見慣れたビジネス街も歴史や文化などの持ち味を探せば必ずあるはず。

また、これまでにない全く違ったもの(例えば大道芸やパフォーマンス)などを持ち込んでいるところもある。

毎日見てると気がつかないが、背景にある歴史とか文化の情報を整理して改めて目を向けてみると意外な発見がある。

それをコアに独自の味付けをしていくということ。

いまコロナでどこも感染防止対策などでたいへんだが、少しずつだが反転の兆しはある。

半年後くらいにはきっと収束の道が見えてくるはず、しかしそれからでは遅いと思う。

少なくとも国内では「そろそろ観光に行きたいな」とかいう旅の熱量は徐々に高まっていると思う。

今のうちに街の魅力の再発見とさまざまな仕掛けを考えておく必要がある。

 

 

以上のような意見交換が行われた。

日頃見慣れたものに実は意外な奥深さがあり、それが新しい魅力となり、ひとの心をとらえることになる、いい気づきを教えていただいたように思う。(文責 事務局)