エネルギッシュタウン

平成16年度エネルギッシュ・タウンー私の街ー表彰3商店街 パネルディスカッション

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東京販売士協会常任理事 池田 章

東京販売士協会では、都内の元気な商店街を表彰する「販売士が推す! エネルギッシュタウン-私の街-」事業(E・T事業)を実施しています。第5回目を迎えた平成16年度は、都電荒川線沿線で展開する商店街の中から、地域特性を活かしたイベントや地域ブランドの立ち上げで独自性を発揮している3つの商店街を表彰させていただきました。

今回のパネルディスカッションは、E・T事業で表彰させていただいた三の輪銀座商店街振興組合(荒川区)、梶原銀座商店街振興組合(北区)、染井銀座商店街振興組合(豊島区)の理事長をパネラーとしてお迎えし、商店街活性化のポイントについてお話をしていただきました。

平成16年度エネルギッシュタウン写真1
平成16年度エネルギッシュタウン写真2

●三の輪銀座商店街振興組合(五十嵐義夫理事長)

三の輪銀座商店街は、都電荒川線の東の起点となる三ノ輪橋電停前に位置しています。465メートルにわたって延びる全蓋型アーケードの商店街で、さまざまな業種が135店並ぶ、横のデパートです。「チンチン電車に会える街」を商店街コンセプトに、入口のアーチやアーケード内にある電飾看板に都電のマークを付けて、都電との一体感を訴求しています。

商店街の活性化には、お客様の動員を目的にしたイベントが効果を上げています。イベントのひとつにポイント制度と連携した抽選会があり、ほぼ毎月実施するため、地域顧客に浸透しています。

また、年に数回は組合員参加型のイベントで地域を盛り上げます。中でも8月の縁日大会は、組合員が自分の店の前に焼きそば、たこ焼き、あめ細工、金魚すくいなどの模擬店を開き、大勢のお客様を集めます。模擬店の売上は組合員が自由に使える仕組みになっていて、参加者のやる気を引き出しています。

商店街活動は、7つに区切られたブロック制が支えています。イベントもブロック単位で責任を持って実施してもらい、それぞれのブロックが競い合うことで、イベントの内容が向上しています。

●梶原銀座商店街振興組合(伊藤裕規理事長)

梶原銀座商店街は、梶原電停前から北へ280メートル延びるオープンモール型の商店街です。組合員数は67店で、最近は空き店舗が増えて、全長が長い割には店舗密度の低い商店街になっています。

そうした厳しい商業環境の中でも、しっかりしたビジョンを持った理事長と若手の副理事長が力を合せて商店街活動を盛り上げています。商店街活動は、「人と人とのふれあいを大切にする」というコンセプトどおり、現代の事業効率に惑わされない温かみのある活動を模索しています。

都電との結びつきは、各種のイベントによって、販促効果を上げています。たとえば、東京都交通局のウォークラリーでは、ゴールの荒川車庫で商店街のチラシを配ったり、都電1日利用券で割引サービスをしたりして、商店街への動員と販売促進に努めています。

地域サービスでは、3月のひな祭り、8月の納涼祭り、10月の地蔵尊祭り、11月のもみじ祭りなど、各種の商業祭りを実施しています。組合員が全員参加で祭りを盛り上げ、そのほかにプロの大道芸人や露天商などにも加わってもらい、地域の人気イベントになっています。

●染井銀座商店街振興組合(埜秀典理事長)

染井銀座商店街振興組合は、都電荒川線からは1キロメートルほど離れています。最寄りの電停は滝野川一丁目と西ヶ原四丁目ですが、どちらも徒歩15分程度の距離があります。また、JRの駒込駅ともほぼ同じくらいの距離があり、決して恵まれた立地条件ではありません。

しかし、商店街のある旧染井村は、桜のソメイヨシノ発祥の地であり、これを武器に地域ブランドを立ち上げて商店街の活性化に取り組んでいます。染井桜の淡いピンクをイメージした日本酒を商品化し、3月21日からの「染井さくら祭り」を皮切りに販売します。日本酒のヌーボーといったところでしょうか。

酒の売上の一部はさくらの苗木の購入費に充て、祭りの期間中に来街したお客様に無料で配布します。苗木を持ち帰った人の庭先で、いつの日かソメイヨシノが開花し、きれいな街づくりに貢献できるものと考えているからです。

商店街活動のコンセプトは、「心とやさしさ」です。具体的な試みとして、地元の高齢者に対して「さくらカード」という割引特典つきのカードを発行しています。このカードの発行目的は、商店街の販促手段ではなく、高齢者のためのライフカードです。万一の場合に備えて本人の消息確認ができるようにして、商店街で安心して買物を楽しんでいただくためのカードなのです。

●共通する「心のふれあい」を大切にする商店街活動

表彰された商店街に共通するのは、人への優しさ、地域に対する誇りでした。事業効率優先の大型店にはできない、心の通った商店街活動こそが地域活性化のポイントといえるでしょう。

パネルディスカッション終了後、引き続き交流会を行いました。参加された会員の方々は、各理事長に今後の 商店街の取り組みについて熱心に質問をしたり、意見を交わしたりしました。