エネルギッシュタウン

第7回ET表彰商店街 パネルディスカッション 「販売士が推す!! エネルギッシュ・タウン ~私の街~」

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E・T実行委員 鈴木佳文

東京都内の商店街の中で、「キラリと光る何か」を持つ元気な商店街を、販売士が消費者の視点から探し出し表彰する「エネルギッシュ・タウン~私の街~」は第7回目を迎え、平成18年11月7日に東京商工会議所で表彰式が実施された(昨年度に引き続き歴史ある街道をテーマに据え、「東海道」沿いで、一般会員及び実行委員から推薦された63商店街から討議・視察・ヒアリング等検討を繰り返し4商店街を選定した)。
今年度は3商店街の理事長をパネラーにお迎えし、パネルディスカッションを開催。ここでは、3商店街の活性化の取り組みについて紹介する。

第7回ET表彰写真1

● 梅屋敷梅交会協同組合(エネルギッシュ・タウン賞)

(理事長:友田 進 様)

◆ 商店街加盟率100%、ゴミ回収と清掃も徹底。顧客志向で光る商店街
国道15号線から西に京浜急行梅屋敷駅前を越えて、東邦医大通りまでの全長560mの一本道の商店街で加盟店は150店。空き店舗が一軒も無いのが自慢。40~50歳代の2代目店主の活動が大きな力になっている。梅屋敷という江戸時代からの名所は東海道の休憩地として発展。昭和59年には東京都モデル商店街1号に指定された。地域密着をコンセプトに、月2~3回新聞折込で「ぷらもーる情報」を配布し、銀行預金が可能なポイントカード「ぷらもーるカード」を発行している。また、梅屋敷太鼓を結成して、町会のイベントなどで披露するなど商店街のPRにも活躍している。
特筆すべきは、「チェーン店も商店街に加盟するのが当たり前」と理事長が言い切る加盟率の高さと、事務局の活用。商店街として顧問弁護士を雇い、会費の請求やチェーン店本部に対しての商店街加盟勧誘に協力していただいている。また、事務所には事務員が常駐し、組合運営の大きな力となっている。顧客志向を意識し、年10回のイベントにはほぼ全店が参加。ゴミは委託業者が毎夜20時に回収、店周りを自ら清掃してから店を閉めることを徹底している。街区が5つに分かれているが、それぞれが競争意識を持って様々な努力をしていることも商店街の活気を高めることに一役買っている。

● 糀谷商店街振興組合(エネルギッシュ・タウン賞)

(理事長:木崎 稔土 様)

◆ 「どうぞの声がひびく街」がキャッチフレーズ。地域密着で光る商店街
京浜急行糀谷駅から環状八号線を越えて、約300mの商店街。戦前から自然発生的に形成され、昭和30年代頃に商店街として成長した歴史がある。北は産業道路、南は第一京浜、西は呑川、東は多摩川に囲まれた立地条件の中で、地域密着型の商店街として頑張っている。店舗数は約100店、空き店舗は少しあるが、大家さんが貸さないだけ。イベント・売出しも毎月1回と活発に活動。福引の景品は商店街の商品券で、また全店が参加しやすいスタンプラリーの形式を取るなど、お客様と個店の距離を縮める努力をしており、個店がお客様と会話の出来る店を目指している。現在、来街者の7割が50歳代以上の方であり、今後益々商店街の重要性は高まると見る。
特筆すべきは、商圏内に建設されたマンション「オーベルグランディオ萩中」の完成時に、商店街で歓迎の横断幕を作成。喜んだ建設業者が各戸への宣伝の許可をくれ、カギ渡しの日に商店街のちらしと商品券を配布するなど地道な活動をしている。昭和40年から続く売出しイベントは、「糀谷市」と名前を変え毎月実施。毎年8月に実施する阿波踊りも32回目を迎えた。イベントやセールで配布する商品券は500円券で93%の回収率があり、地道なPR活動が成果を上げていると言える。

● 新橋赤レンガ通り発展会(テーマ賞)

(会長:高木 正夫 様)

◆ 一般企業の加盟も推進、商店街憲章を定める。未来志向で光る商店街
新橋2丁目外堀通り交差点、有形文化財の堀ビルの所から愛宕警察の位置する新橋6丁目まで約880mの長い商店街。ここを10班に分けて班長が業務担当をする態勢を取っている。発足は昭和54年。「美化発展」を会のスローガンとし、医者や建設業界など一般会社にも会員になってもらい敢えて商店街組織にはしなかった。平日はサラリーマン・OLで賑わうが、土日祝日は極端に顧客が減少する地域特性でもあり、休日に「ゆりかもめ」を利用する観光客をこちらまで引き込むことが課題。忠臣蔵で有名な浅野内匠頭切腹の地「田村屋敷跡」や有形文化財の堀商店ビルなど歴史・文化が残るスポットを活用し、各店が商店街憲章に定める「環境整備」「文化の香り」「秩序ある商店街」を実践・努力している。
特筆すべきは、組織運営と若手・女性の活用。約100店の構成ながら10班に分けて業務担当をし、若手の副会長2名が会長代理として実務を担当するなど、商店街を担う人材を育成する仕組みを作り上げた。更に、和を重視する会長の発案でレディス会を発足。25名の会員が通りの清掃や花壇の植え替えなどを行ない、この活動を通して個店同士の結束も高まっている。今後は再開発による商店街分断問題点をも見据えて更に結束を高めていこうとしている。

★3商店街に見る商店街活性化のヒント

どの商店街も理事長・会長の強いリーダーシップのもと、地域との関わりを大切にして活動している。共通するのは、「商店街としてお客様にアピールする事業を地道に継続的に実施しており地域で認知されていること」「将来を見据えた取り組みを行っており未来志向を持っていること」「商店街を利用してくれるお客様の要望や利便性を考える顧客志向を重視していること」。通りを歩くと個性的で元気のある個店があり、お客様に積極的に声を掛ける姿が見られる。地域特性や文化を生かした商品を作るなど努力、工夫を積み重ねた結果がお客様に指示される大きな要因になっていると考えられる。
それぞれの商店街を訪問し、実際に買物をしてみるとより実感できると思うので、近くへ出られた際には是非とも足を伸ばしていただきたい。