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E・T実行委員 鈴木佳文
東京都内の商店街の中で、著名では無いものの「キラリと光る何か」を持つ元気な商店街を販売士が消費者の視点から探し出し表彰する「エネルギッシュ・タウン~私の街~」は平成19年度で第8回目を迎え、平成19年11月26日に東京商工会議所で表彰式が実施されました(平成19年度は、昨年度に引き続き歴史ある街道をテーマに据え、「五街道」の中から日光街道を選択。一般会員及び実行委員から推薦された44の店街から実行委員が討議・視察・ヒアリング等を踏まえた検討会繰り返す中で4商店街を選定しました。地域との関わりや独自性、地域に愛される活動を行なっている商店街が表彰対象になっています)。
今年度は4商店街の理事長・副理事長をパネラーにお迎えし、パネルディスカッションを開催しました。ここでは、参加4商店街の活性化の取り組みについて簡単にご紹介します。

第8回ET写真

●人形町商店街協同組合(エネルギッシュ・タウン賞)

(副理事長:和氣 正幸 様)

◆「ここは下町人形町 粋な情緒のお買い物」がスローガン。積極的に下町情報を発信する商店街。
江戸時代初期から、芝居小屋が周辺に建ち、人形師や職人が暮らす下町として栄えてきました。いまも水天宮参詣や明治座観劇など、広域からの来訪者が絶えません。日本橋人形町1丁目、2丁目の人形町通り、甘酒横丁周辺の商店などで構成される加盟店数182店の商店街です。表通りの加盟率は100%で、加盟店舗数も徐々に増えてきています。20代から理事として活動してきた理事長の商店街に掛ける想いが商店街活動を牽引してきました。下町情緒溢れる昔ながらの趣のある商店街ですが、老舗だけでなく新しい洒落た店が交じり合って話題性に富んだ構成になっています。地元出身漫画家の協力得て作成する季刊誌「人形町」の発行や商店街のホームページを通じて下町文化の情報発信を積極的に行っており、来街者とのコミュニケーションを図っています。また、毎月の組合員が参加するクリーンデーで積極的に地域清掃に取り組み「清潔で住みよい街づくり」を目指しています。
花祭り、てんてん祭り、人形市など、この商店街ならではの独創性あるイベントを年間数多く実施しており、毎回大変な盛況です。地域の歴史や文化、老舗の存在をうまく活用して消費者とのコミュニケーションを図っていることが成功要因の一つなのでしょう。

●千住本町商店街振興組合(エネルギッシュ・タウン賞)

(理事長:菊嶌 新吾 様)

◆「くらしに役立つ本町センター」がキャッチフレーズ。おもてなしの心が賑わいを産む商店街。
旧日光街道の宿場どおり中ほどに位置し、宿場と市場と河岸場の3つの機能が備わった流通の拠点として反映してきた、加盟店数109店の商店街です。現在も日常の買い物をする近隣生活者の他、旧日光街道の「千住の宿」の史跡を訪ねる人も多く、いつも賑わっています。駅に直結する商業集積から、如何に顧客を誘引するかが大きな課題ですが、理事長の軽いフットワークで周囲の商店街とも連携しながら集客を図っています。「おもてなしの心」を大切にしたいという理事長の想いを機会を捉えては加盟店に訴えており、賛同した店舗それぞれが地域住民とのコミュニケーションを図っています。イベントにも積極的で、区産業振興課と区商連が後援する地域商店街が合同で行なう「エキゾチックフェスティバル」に合わせて福引や現金掴み取りなどを行うなど機会を捉えては集客向上を図っています。商店街の安心・安全を考え、3年前には防犯カメラを設置。通勤・通学に安全な経路も提供しています。
単独の商店街ではなく、路地裏の多い千住界隈の特性を活かして「路地裏文化」を育成していこうとしている。ここでは地域内で連携を図る活動が成功要因の一つとなっています。

●千代田商店街振興組合(ゆめかなえま賞)

(理事長:山川 吉三 様)

◆シンボルに商店街コンセプトを集約。「夢見石」のある商店街。
旧日光街道の横を東西300mにわたって延びている加盟店数50店の商店街です。最寄駅から歩いて15分以上掛かる位置にあり、集客に苦戦しています。理事長のリーダーシップの下で地域に密着した活動を進めていますが、発足以来から「ゆめのある街」を志向し、固い結束があります。ポケットパークには触ると夢が叶えられるという「夢見石」が置かれており、商店街のシンボルとなっています。
毎月第一土曜日に開催される「フリーマーケット」と「激安セール」は目玉行事となっており、周辺から大勢の人々があつまる一大イベントして定着しています。一方で、平日の昼間に訪れる顧客は減少しており、対応が急務となっている状況もあります。旧来の常連客を大切にして、足立区共通のポイントカードや全店利用可能の商品券サービスも実施しています。典型的な衰退途上の商店街に見えますが、統一したコンセプトの下にまとまり、地域全体を視野に入れている点、目玉行事となるイベントで集客が図られている点で、苦戦している多くの商店街に希望を与えてくれます。ここでも、地域住民を巻き込んだイベント開催が成功要因の一つになっています。

●汐入商店街振興組合(ふれあい賞)

(理事長:高山 治男 様)

◆「住民のために商売がある」という理念を貫く。地域と一体となって街づくりを進める商店街。
再開発の南千住団地群の一角にある若い商店街です。最寄の南千住駅から徒歩15分程度の位置にあり、広域からの集客は厳しい状況にあります。団地1階のショッピングセンターに入居している商店を中心に32店が加盟し、「住民のために商売がある」という理念を持って活動しています。各種イベントや地域活動も地域住民と一緒になって行っています。ショッピングセンターの空き区画は商店街が管理し、図書館サービスなど住民の利便性を高める活動を行なっています。商店街が空き店舗の大家となっており、入居テナントの選定に力を持っていることが強みになっています。65歳以上の高齢者を対象に「生活安心カード」を発行し、割引サービスの他、交通事故や急な病気に素早く対応可能とする支援を行なっていますが、個人情報への意識の高まりで発行数は伸び悩み、対応を検討しているところです。
荒川区・女子栄養大学とタイアップして「荒川満点メニュー」に加入して、健康食品の研究・開発を行なう動きもあり、エリア全体を見据えた活動を志向しています。地域と一体になった街づくりが成功要因の一つになっています。

●4商店街に見る商店街活性化のヒント

今回表彰された商店街は、地域密着を志向していることは勿論ですが、活動を商店街単独に留めることなく、その存在を点や線ではなく面として捉えて行なっているところに共通点が見出せます。特に、特別賞に入賞された2商店街は、規模や立地条件だけを見れば厳しい環境のみが目につきます。ところが、商店街活動を面として捉えることで、ピンチがチャンスに変わっているのです。これは、これからの商店街活動を考える上で大きなヒントになるでしょう。