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E・T実行委員 鈴木佳文

東京都内の商店街の中で、著名では無いものの「キラリと光る何か」を持つ元気な商店街を販売士が消費者の視点から探し出し表彰する「エネルギッシュ・タウン~私の街~」は平成20年度で第9回目を迎え、平成20年10月29日に東京商工会議所で表彰式が実施されました(平成20年度は、昨年度に引き続き歴史ある街道をテーマに据え、「五街道」の中から旧中山道を選択。一般会員及び実行委員から推薦された41の商店街から実行委員が討議・視察・ヒアリング等を踏まえた検討会繰り返す中で5商店街を選定しました。地域との関わりや独自性、地域に愛される活動を行なっている商店街が表彰対象になっています)。
今年度は4商店街の理事長・事業部長をパネラーにお迎えし、パネルディスカッションを開催しました。ここでは、参加4商店街の活性化の取り組みについて簡単にご紹介します。

第9回ET表彰商店街写真1

●滝野川市場通り商店街振興組合(エネルギッシュ・タウン賞)

(理事長:大嶋 孝之 様)

◆大手スーパーと共存共栄する、地域密着で「安心・安全・相談」を提供する個性派商店街。
昭和25年頃、焼け野原の地に誕生した「飯田百貨店」の周辺に出店した露店集団が発祥で、商店街の誕生当時から続く店舗が多い。大手スーパーを核店舗として、八百屋が4件に肉屋もあるという状態で生鮮品が充実しています。各個店が自店の特徴を出す工夫をしており、お客様の好みにブレンドしてくれるお茶屋さんなどユニークな店が多く存在します。また、「安心・安全・相談」をお客様に提供するコンセプトで、お客様が気軽に店主とコミュニケーションを取る関係が構築されていました。組合事務所を「滝野川新鮮組・よろずやみゅうじあむ」として食事会やレンタルギャラリーに貸し出しを実施、地域のお年寄りを毎回15人募集して行なう「ふれあい食事会」も今年で五年目を迎えています。地域とのコミュニティ活動は本商店街の強力な武器になっています。特に革新的な取り組みとして、オリジナルブランド「滝野川新鮮組」を商標登録して、更なる個店の魅力強化を図っており、個店の魅力を引き出そうとする日々の工夫が成功要因の一つとなっています。

●遊座大山商店街振興組合(エネルギッシュ・タウン賞)

(事業部長:鈴木 康彦 様)

◆「いいですね この街」が合言葉。ユニバーサル商店街宣言のもと、人に優しい商店街造りを進める。
東武東上線大山駅東口の東西に広がる商店街で、生鮮品よりも飲食店の比率が多くなっています。ディスカウントスーパーの集客力を利用する事で生鮮品のお店が少ない弱点を克服し、賑わいを見せています。環境・リサイクル・食・子育て・イベント・販促・情報発信・環境整備の7領域についてアクションプランを作成し、実践。防犯カメラの設置やLED街灯の導入など先進的な取り組みを常に模索し続けている。江戸開府400年を記念して商品券代わりに発行された遊座小判(天保五両小判のレプリカ)は、商店街内のチェーン店でも利用でき、スタンプに変わる試みとして注目されています。毎年行なっているイベントも地域に定着し、特にサマーフェスタは大学や地元サークル活動発表の場としても盛り上がっています。町会や中学校のPTAと共同で「地域安全パトロール」を実施するなど、地域コミュニティの核として、その存在感を高めています。地域の資源は貪欲に何でも活用して、コミュニティ全体の魅力を増す日々の工夫が成功要因の一つになっています。

●板橋宿不動通り商店街振興組合(地域連携賞)

(理事長:榎田 時男 様)

◆周辺商店街との連携の核となって、地域の共存・共棲を図る。縁起みくじで繋がる商店街。
旧中山道板橋宿の中ほどに位置する加盟約200店の商店街。理事長が商店街連合会の支部長を務めていた経緯もあり、板橋縁宿事業の中核となって推進。支部の青年部では「未来意産ネットワーク」の企画を立ち上げて推進しています。江戸時代から続く地域資源である『縁切榎』を『リセット』と捉え直して、リセットから繋がる8つの縁を各商店街の地域資源と結びつけて「板橋縁起みくじ」で有機的に連携した結果、年間販売額が増加傾向に転じました。東京都の商店街グランプリでも話題になった「板橋縁宿事業」の立上げには大変な苦労が伴いましたが、単独の商店街だけでなく地域エリア全体を活性化して行きたいという強い想いが推進の原動力となりました。商店主の高齢化に伴う閉店など、悩みは尽きませんが、エリア全体として魅力を高めたことが大きなプラス要因となっています。単独商店街の利益のみを追求せず、高い視点・広い視野で、外部の専門家もうまく活用しながら、地域全体の活性化を志して粘り強く活動してきたことが、成功要因の一つとなっています。

●巣鴨地蔵通り商店街振興組合(にぎわい大賞)

(理事長:木﨑 茂雄 様)

◆「巣鴨の歴史と文化を大切にした人に優しいおもてなしの街」がコンセプトの温かい商店街。
巣鴨駅から都電荒川線庚申塚停留所までの道路沿いに広がる商店街。「おばあちゃんの原宿」と言われて23年目、年配者に合致した商品提供や来街者の目の高さを意識したPOPや看板を設置、カタカナや英語を一切使わないというこだわりがあります。来街者の目線で、優しく、ゆっくり、判り易い日本語での応対を意識した接客をしており、昔ながらの商人の「おもてなしの心」を大切にしています。「知恵を出せ、汗をながせ」を合言葉に、「古臭くて、汚くて、ダサい」商店街を目指すことで、古き良き時代を連想させる街並みが維持されています。チェーン店とは本部と交渉、土地オーナーなどの協力を得て、商店街加盟率は100%。儲けているお店から会費を重く取る会費の徴収を行なっています。特筆すべきは、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる2年も前から高齢者にターゲットを絞り込み、徹底的にターゲットに合わせた品ぞろえやサービスを考え、実践していった「思い切り」です。特定の顧客層に絞り込んだ活動を粘り強く続けてきたことが、成功要因の一つとなっています。

●4商店街に見る商店街活性化のヒント

今回表彰された商店街は、昨年同様に地域密着を志向していることは勿論ですが、活動を商店街単独に留めることなく、その存在を点や線ではなく面として捉えて行なっているところに共通点が見出せます。更に、環境の変化を敏感に察知し、ポジティブに捉え直すことでチャンスに変えていくところも共通しています。木﨑理事長の「各個店がもっと自分達で努力していかなければならない」というお言葉からは、苦しい商店街に対してのエールにも聞こえました。私もある商店街活性化のお手伝いをしていますが、各個店の皆さんそれぞれが魅力や力を秘めています。諦めずに挑戦を続ければ、必ずや商機が訪れるはずです。ぜひ頑張って頂きたいと思います。